更年期障害
試みに、医学辞書と大辞林を引いてみるとこの項には、女性の更年期に付いてだけが記載されています。
それは、男性への逆の差別ではありませんか?私、男性として、男性更年期障害があると確信しています
(以下に2005の日本Aging Male 研究会での概要があります)。
女性の更年期とは、生理(月経)が止まり、生殖と言う命がけの仕事から解放され、女性として、初めて自由
に生活できる時が来たのです。女性の更年期に付いては暫く、医学書を見てください。
治療に、エストロゲン受容体モジュレーターが登場しました。男性の更年期は、女性の様には、判りません。
それで、何を目安にしたら良いか困っています。 一つは男性ホルモンの血液中の量を測定すれば、
基準値を下回る筈です。しかし、ホルモンは年と共に、少しづつ減少して行くので、その量の変化は、
微妙で、何時から、更年期と言うかは難しいと思います。
二つは精液の量、精子の数も減少しますが、これも、徐徐に減少するので、女性の排卵が更年期
と共に止まる事とは全く異なり、何時からとは判定は無理です。
三つは男性機能そのものが、衰える事ですが、多分こちらも、更に難解に事になると、思います。
70歳代の男性が、妊娠させ得たとの話がありますが、確認できていません。男は唯、信じるのみです。
誰が父親かは、当人の女性だけが知っているのですから、現在では、遺伝子、DNAの検査で、
親子鑑定は、可能ですが。そして良い方法が見当たりません。しかし、男性更年期障害はあります。
その症状は複雑で 、何が現れるか見当がつかない事が多いのです。女性に良く現れる不定愁訴も、
男性には、あまり現れず、後に、振り返ってみて、あれが、男の更年期障害と確信するのです。
しかも、その期間は、女性の更年期に比べて、かなり長いのです。男は、何歳になっても、
男が立たない!!のは我慢ならないのです。更年期なんて、思いもよらないのです。男が男でなければ、
男は、死あるのみ、、、、。それ故殆どの男は、鬱病、双極性障害に陥り、死の淵から生還して、
初めて、更年期を無事、克服するのです。男の更年期障害の症状は、双極性障害の中に
埋もれてしまうのです。
<加齢男性性腺機能低下症候群 LOH>最新情報は、以下の2005年の日本Aging Male 研究会の概要です。
Medical Tribune 2006.1.5に記載された男性更年期障害の記述を要約して記述します。
LOHはLate-onset hypogonadism syndrome です。
partial androgen deficiency of the aging male (PADAM)が男性更年期障害を意味します。
@用語と定義 : PADAM の名称を、Late-onset hypogonadism (LOH症候群)、日本語では「加齢男性性
腺機能低下症候群」としたいとしている。
A診断基準 : PADAM を加齢男性性腺機能低下症候群と定義したのですから、男性ホルモン基準値
を設定する必要がありますが、日本人では、加齢による総テストステロン値の減少が確認されてい
ないのです。しかし、フリーテストステロン濃度が加齢とともに減少することが判っているので、
8.5pg/mL 以下を低アンドロゲン(男性ホルモンの総称)血症とし、11.8pg/mL以下をアンドロゲン
の低下傾向群(境界型)とすると提案されています。そして、フリーテストステロン濃度が低下傾向に
ある者には、症状に応じて、アンドロゲン補充療法(ART)が提案された。そして、フリーテストステロン
濃度低下例では、黄体形成(化)ホルモン(LH)値と卵胞刺激ホルモン(FSH)値の測定を行い、
高・低ゴナドトロピン(性腺刺激ホルモン)血症を診断し、他の疾患と判別することを推奨しています。
また、プロラクチンも参考にする必要があるとしてます。
Bうつ病のスクリーニングと症状評価 : 男性更年期外来受診者はうつ病の合併が多く、加齢男性では
血中テストステロン減少とうつ病、不安などとの関連が指摘されていて、スクリーニング
や症状評価にさまざまな質問用紙が使用されています。これらのスクリーニングなどに
よって、うつ病には至らないと思われる気分変調障害があり、この気分変調障害は
テストステロン濃度が低下していて、ARTが有効であったとしています。
CPADAM治療の生化学診断マーカー : PADAM 治療では、明確な生化学的診断マーカーはない。、
しかし、「テストステロンの作用と副作用、メタボリックシンドロームなどの観点から、治療前
および治療後フォローのために最低限必要な検査を提示し、必須項目に前立腺癌マーカー
:PSA検査などを推奨した」としていて、加齢と共にテストステロンが低下することが、メタボリッ
クシンドロームの背景因子の一つである可能性も考えられるとしています。現時点では、重篤な
内科学的疾患や前立腺癌の除外、テストステロン補充療法に伴う治療経過の評価など
のために検査を行うのが妥当としています。日常診療で施行可能な必須項目は、
1) 理学的所見では、身長、体重、body mass index (BM I*1)、ウエスト周囲径、血圧、握力測定、直腸診、
2) 検査では、一般血液検査、一般検尿、血液生化学検査、糖尿病検査、前立腺癌(PSA)検査、   、
3) 選択項目では、骨塩定量(骨粗鬆症の検査)を行うこと、などとしました。                、
これらのことから重症な生活習慣病がある場合はその治療を優先すべきとしました。
Dアンドロゲン補充療法(ART) : 「ARTの対称は、自覚的または他覚的にLOH 症状がある40才以上の
男性で、血中のフリーテストステロン濃度が8.5pg/mLを正常下限値、
8.5〜11.8pg/mLを低下傾向群として治療すべきとした」としています。
ART 治療の実際は、
1) エナント酸テストステロン125mgを2〜3週毎に、または250mgを3〜4週ごとに筋肉注射する。  、
投与4〜7日後に血中テストステロン濃度が最高になるので、
1度血中テストステロン濃度が正常範囲にあるか確認する。
2) 絨毛性ゴナドトロピン(hCG絨毛(じゅうもう)性性腺刺激ホルモン)3000〜5000単位を症状によって
2週に一回から週1〜2回筋肉注射する。
血中LH値正常例にhCGテストを行い、フリーテストステロン濃度の反応が良好な場合に、
hCG の投与による治療を推奨しています。
3)男性ホルモン軟膏(一回3mgテストステロン相当)を朝夕に陰嚢皮膚に塗布する。     、
この投与法は容易で安定した血中フリーテストステロン濃度が得られます。
以上のいずれの方法でも、
3ヶ月ごとに評価をし、効果が認められれば、副作用に注意して治療を継続すべきとした。
しかし、
「自覚症状(男性機能など)の改善についてどのように評価すべきか課題がある」としています。
EART 施行後のリスク評価 : テストステロンは多くの臓器や組織に作用するステロイドホルモンである
ことから、「ARTによる前立腺疾患への影響に注意して、
治療前PSA値2.0ng/mL以下をART施行の規準値とした」としています。
そして、ART 治療から除外すべき疾患を、
前立腺癌、前立腺肥大症、多血症(真正赤血球増加症)、脂質代謝異常、
睡眠時無呼吸症候群:SAS、重症の高血圧症、肝機能障害(肝炎)、腎疾患とした。
特に、前立腺については、ARTのリスクとして注意する必要があるとし、
1) 前立腺癌をART の絶対的禁忌とするとしています。                        、
2)前立腺肥大症は、ART の相対的禁忌としています。そして次項のPSA値によるとしています。
3) PSA値によるARTの開始が許されるのは、2.0ng/mL以下をARTを施行する基準値とし、PSA
 値が一年に1.0ng/mLの上昇または半年に0.5ng/mLの上昇が認められた場合、あるいは
PSA値が2.0ng/mL以上になった場合は、ART を中止して前立腺癌のスクリーニング
を行うとしています。そして、ARTとの併用禁忌は、ワルファリンなどの抗凝固薬です。
F最後になりますが、LOHの症状を少し詳しく記述します。うつ症状約55%、身体症状約30%(発汗、
ほてり、睡眠障害、持続力・体力の低下、筋肉痛)、性腺機能低下約15%(勃起不全など)、
その他、いらつき、神経過敏、不安、疲労感、精気消失などで、
アンドロゲン低下に伴う症状として1) 認知機能の低下 2) 筋肉量および筋力の低下を伴った
除脂肪体重の減少 3) 体毛や皮膚の変化 4) 骨密度の減少5) 内臓脂肪の増加--などです。
加齢に伴う血中テストステロンの低下が、動脈硬化症や冠動脈疾患発症(心筋梗塞など)、
うつ状態や認知力の低下との関連が認められると報告されている。
さらに、アンドロゲンは、ストレスなどの外的要因で、突然に低下するものなのです。
アンドロゲンが若年から低下するとLOH や生活習慣病が進行すると思われます。
<簡略更年期指数 SM I>(麻生・小山らによる)
症状の程度に応じ点数を入れ合計点数をもとに更年期症状の程度を表す。
症状 なし 点数
@顔がほてる 10 6 3 0
A汗をかきやすい 10 6 3 0
B腰や手足が冷え易い 14 9 5 0
C息切れ、動悸がする 12 8 4 0
D寝つきが悪く、眠りが浅い 14 9 5 0
E怒りやすく、いらいらする 12 8 4 0
Fくよくよしたり、憂うつになる 7 5 3 0
G頭痛、めまい、吐き気がよくある 7 5 3 0
H疲れやすい 7 4 2 0
I肩こり、腰痛、手足の痛みがある 7 5 3 0
合計点数
Medical Tribune 2009・9・10の記事を要約して記述します。LOHにも漢方薬の柴胡加竜骨牡蠣湯が有効で、
腫瘍壊死因子(TNFα)を増加させ、デヒドロエピアンドロステロン(DHEA-S・女性ホルモン)を低下させ、
LOHを改善するとしています。その他、この漢方薬の投与によりサイトカインである、
インターロイキン(IL)-8、IL-13、インターフェロンγなどが増加した。補中益氣湯も有効といいます。
AMS(aging males'symdrome score)男性の更年期スコア
症状 なし 軽い 中等
重い 非常に
重い
                 点数 1 2 3 4 5
1 総合的に調子が思わしくない
(健康状態、本人自身の感じ方)
2 関節や筋肉の痛み
(腰痛、関節痛、手足の痛み、背中の痛み)
3 ひどい発汗(思いがけず突然汗が
出る。緊張や運動に関係なくほてる)
睡眠の悩み(寝つきが悪い、ぐっすり眠れない
寝起きが早く疲れがとれない、浅い睡眠、眠れない)
5 良く眠くなる、しばしば疲れを感じる
6 いらいらする(当り散らす、
些細なことにすぐ腹を立てる、不機嫌になる)
7 神経質になった(緊張し易い、
精神的に落ち着かない、じっとしていられない)
8 不安感(パニック状態になる)
9 からだの疲労や行動力の減退(全般的な行動力の
低下、活動力の減少、余暇活動に興味が無い、
達成感がない、自分をせかさないと何もしない)
10 筋力の低下
11 憂うつ()な気分(落ち込み、悲しみ、涙もろい、
意欲がわかない、気分のむら、無用感)
12 「絶頂期は過ぎた」と感じる
13 力尽きた、どん底にいると感じる
14 ひげの伸びが遅くなった
15 的能力の衰え
16 早朝勃起(朝立ち)の回数の減少
17 欲低下(セックスが楽しくない、性交の欲求が起きない)
訴えの程度: 17〜26点 : なし、27〜36点: 軽度、37〜49点: 中等度、50点以上: 重度

<女性更年期障害の漢方療法>漢方薬治療では、「証」が用いられますが、私には自信をもって説明出来ません。
虚実中間証では、加味逍遥散(かみしょうようさん)や桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)を処方する。
華奢で貧血傾向の虚証タイプには温経湯(うんけいとう)や当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)などを、
実証には、女神散(にょしんさん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)などを処方する。
効果判定では、桂枝茯苓丸と加味逍遥散は、SM I 総点数で30%以上減少した症例を有効とすると
70%の有効性があった。
「ほてりや発汗などは桂枝茯苓丸が、不眠、憂うつ、頭痛・めまいなどの精神神経症状に対しては加味逍遥散
がより効果的であることが示された。とくに、軽度のうつ程度ならば、加味逍遥散で解決できますが
真性のうつが疑われる場合は抗うつ薬を処方するか精神科を紹介する」
一方、息切れ・動悸、肩こり・腰痛を強く訴える症例に対して、両処方とも十分な治療効果が期待出来ない
可能性が高いことが分かったので、他の治療法を検討する。
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