自己免疫疾患
心臓、腎臓、肝臓移植など、臓器移植は、唯、健康な人から貰った、健康な臓器を移植すれば、
普通に働くと思っている人も多いと思います。しかし、それだけでは、拒絶反応が起こり、
移植された臓器は、破壊されてしまいます。拒絶反応抑制剤を使って、破壊されないようにします。
この拒絶する作用が、自己と他人の組織を識別している大切な能力なのです。同時に、この能力は、
自身の組織を識別する事なく、一つの個体として調和良く働かせます。
ところが、何かの原因で、自己の組織を、自身の組織と認識出来ない時、その組織に対する、抗体
(抗原、抗体の項参照)が出来て、自己免疫疾患が出来上がります。理論的には、総ての臓器に、自己
免疫疾患は起こり得ます。医学書を見ると、臓器特異性と非特異性に分けて記述していますが、
私は、非特異性は、特異性よりも、侵される臓器叉は細胞の種類が多いと考えれば良いのでは
ないかと。
症状は、基本的には、攻撃された臓器の働きが減少する為で、何かの不足する症状が出ます。
40個程の病名が、並んでいますので、興味ある人は、それぞれの病名の項を、医学書を参照を。
医学書を調べても、何故、自分の組織と認識出来なくなるのか?更に、自分を攻撃する、
細菌などと同じと認識して、破壊する様になるのか説明していません。私が医学部の学生時代、
好きになれなかった教授が、医学と云う学問? は中世期のメディシンマン(魔術師、占い師)が
行う治療と同じ程度なのだと、常に言っていました。今、冷静に考えると、当時の私は、医学も、
数学の様に、叉は、少なくとも、化学くらいには、理論的に説明され、叉は理解出来ると思っていた
のです。今、21世紀に入って、漸くメディシンマンから、少し進歩し始めたのです。中国の漢方療法
は、3千年以上の歴史が有ります。日本の医学は、基本は、西洋医学です。そして、殆どの
医学部は、ドイツ系です。慈恵医大は、イギリス系と言われています。(確認していません)
この違いは、単純ですが、ドイツ系は、病気を研究し、イギリス系は、病人を見よと、
私も、ここで扱う項は、病気を記述しています。しかし、一人一人を診ると、同じ病名でも、
同じ病人はいません。
西洋医学は、中国の漢方医学には遅れています。単純に比較出来ませんが。(独断です)
<自己免疫性多腺性内分泌不全症候群 autoimmune polyglandular syndrome : APS>という概念が、
1980にNeufeld らによって提唱された。次ぎの3型がある。
@APST型 : 副甲状腺機能低下症、アジソン病、粘膜皮膚カンジダ症を主病変とする。
AAPS U型 : 1型糖尿病、アジソン病、自己免疫性甲状腺疾患を主病変とする。 、
BAPS V型 : 自己免疫性甲状腺疾患と他の自己免疫性疾患を認めアジソン病が無い。
→シュミット症候群はAPS U型です。
AIRE遺伝子の変異がAPST型の原因として発見されていて、重症筋無力症の胸腺髄質上皮
細胞にも発現している転写因子AIREが胸腺腫では欠如しています。AIREは胸腺以外の
場所で発現される自己分子に対する中枢性トレランス誘導に重要な役割を担っている。
<インスリン自己免疫症候群 insulin autoimmune syndrome IAS平田病>という概念が提唱された。
IAS は自発性低血糖を起す疾患の一つで、1970年平田幸正によって報告された。
αリポ酸(リポ酸・チオクト酸などともいう)がサプリメントとして、2004に許可された。チオクト酸
の名で肝疾患に古く医薬品として使用されていた。ヒトの体内でも合成されるといわれいる。
この物質のSH基がインスリンの血中濃度を上昇させて、低血糖発作を起すという。
詳しい理由は省略します。ですから、SH基をもつ物質は総て危険性があります。
チオクト酸は抗酸化作用により、老化を遅らせるとする期待により人気が出ている。
サプリメント(⇒薀蓄の項参照)は総てその服用には注意してください。普通の食事で、
毎日20種類以上の食材を使用していれば、殆ど総ての栄養素が過不足なく摂れるのです
必要な栄養素でも、大量に接種すれば、体に悪い結果になるでしょう。
ですから、サプリメントとして過剰摂取すればかえって身体に悪いと思います。
<表> インスリン自己免疫症候群(IAS)の特徴
| インスリン注射歴なしで重症の低血糖発作 |
| 血中インスリン(IRI)高値 |
| インスリンと結合しているインスリン自己抗体が存在 |
| 特定のHLA-DR4(DRB10406)と強く関連し、日本人に多い |
| SH基を有する薬物の服用例が多いが、原因不明の症例が半数 |
同じように、コエンチーム(コエンザイム・補酵素)Q10が皮膚の若返りとして、化粧品などに
使われていますが、効果は期待出来ません。Q10は心疾患に昔使用されていましたが
現在では忘れ去られています。
<視神経脊髄炎neuromyelitis optica NMO>比較的重度の視神経炎と脊髄炎を特徴とする中枢性
炎症性疾患です。その臨床的経過や障害部位の特徴から長年多発性硬化症(MS)の異型と
されていましたが、2004年にNMOに特異な自己抗体NMO-IgGが発見され、MSとの違いが
明らかになり、治療法も異なります。NMO-IgGは中枢神経系のアストロサイトの足突起に主
に発現する水チャンネル: アクアポリン4(AQP4)です。
表 : 多発性硬化症と視神経脊髄炎の特徴
|
多発性硬化症 |
視神経脊髄炎 |
| 性差(男 : 女) |
1:2 |
1:9 |
| 病変 : 分布 |
播種性・びまん性 |
主に視神経・脊髄 |
| : 脳 |
脳室周囲・脳梁・皮質下白質 |
延髄・視床下部・浮腫性 |
| : 脊髄 |
病変長 : 短 分布 : 辺縁白質 |
病変長 : 3椎体以上 長 分布: 中心灰白質 |
| 症状 : 経過 |
再発性、一部進行性 |
再発性、一部単発性 |
| : 重症度 |
比較的軽症 |
より重篤 |
| 髄液 : 細胞数 |
細胞数増多 : 少ない |
細胞数増多 : 比較的多い |
: オグリクロ
ナールバンド |
頻度高 |
頻度低 |
| 病理所見 |
脱髄性病変 |
壊死性病変 |
| 抗AQP4抗体 |
陰性 |
陽性率 : 60〜90% |
<慢性炎症性脱髄性多発ニューロパチー(chronic inflammatory demyelinating polyneuropathy CIDP)>
@CIDPは液性免疫と細胞性免疫の両方が関与する自己免疫性疾患です。Aミエリン抗原、特にPO
蛋白質に対する血中抗体の関与が想定されているが、標的細胞は依然として不明です。BCIDP
患者の末梢神経には制御性T 細胞の浸潤がみられるが、炎症を終らせる役割を果たしているのか
病態を悪化させているのかは明らかにされていない。CCIDPは、病院的、症候的、電気生理学的
いずれにおいてもheterogenous (均一でない)な病態を包括する概念で、今後は適切な方法で゛
サブグループ化したうえで、CIDPの病態に迫る試みが必要としている。
CIDPは再発寛解ないし慢性進行性の経過で、左右対称性の筋力低下や感覚障害を示す後天性
の末梢神経障害です。歴史的にはステロイドホルモン治療が有効であることが注目され、単一疾患
として提唱されたが、現在ではさまざまな病型を含む症候群とされている。多くの症例で免疫治療
(ステロイド療法・血漿交換療法・免疫グロブリン療法)が有効であることから、自己免疫機序が
関与することは疑う余地がないのです。
<自己炎症症候群(autoinflammatory syndromes)>@遺伝的素因のため、感染症や自己免疫疾患がないのに
炎症性病態を繰り返す一群の症候群を総称してautoinflammatory syndrome と呼ぶ。Aこれらの疾患の
原因遺伝子変異が次々と明らかにされ、そのことが自然免疫の分子機構解明にも寄与することから
注目されている。B乳幼児から発症するものが多いが、比較的軽症である場合は成人になってから
症状が明らかになったり、小児期に発症していても診断が確定しないままの症例も多いと思われる。
C重篤な病態になるまえに正しく診断しして治療する必要があり、不明熱の診断に際しても、これらを
念頭に置く必要がある。
*代表的な疾患は、家族性地中海熱(familial Mediterranean fever : FMF)を初めとして一連の遺伝子異常
が発見されている。その治療法も確実に進歩してきた。クローン病やベーチェット症候群もこの疾患
の仲間として理解されてきています。治療は分子標的薬としては、anakinra(IL-1receptor antagonist)
などが開発されている。周期熱症候群periodic fever syndromeと呼ばれていたものです。
*1)周期熱症候群。 ・
@FMF はもっとも高頻度に認められる周期熱症候群で、スペイン・ポルトガル系のユダヤ人、アルメニア
人、北アフリカ、トルコなどに多い。日本でも潜在的にはかなりあると思われている。症状は、成人前
に発症することが多い。発熱と同時に奨膜炎による腹痛、胸痛、関節痛などで、1〜2日で自然軽快する
という発作を不定期に繰り返す。発作時は好中球増加、CRP高値を認め、寛解期には正常なことが多い
が正常化しない例もある。一部はアミロイドーシスを起す。pyrin という蛋白質をコードする遺伝子
MEFVの変異によってもたらされる、常染色体性劣性遺伝病です。pyrin は好中球、単球、奨膜、
滑膜の線維化細胞などに発現して、インターロイキン(IL)-1産生の調節にかかわっている。IL-1の
産生には後述するNALP3inflammasome の関わる経路が重要であるが、pyrin はinflammasomeの
構成要素であるASCまたはcaspase-1と結合して、その機能を抑制しているらしい。
A癌壊死因子(TNF)レセプター関連症候群(TNF reseptor -1 associated periodic syndrome TRAPS)
アイルランド、スコットランドに多い常染色体性優性遺伝病で、発熱は5日〜2週間以上続き、
結膜炎、眼瞼浮腫、筋痛、発疹、腹痛などを伴う。日本での最初の報告は、1家系の報告で、
全身性エリテマトーデス:SLEとの合併例でした。
B高IgD症候群は、オランダ、フランス、イタリアなどに多い常染色体性劣性遺伝病で、乳幼児期
から発熱発作を繰り返し、頚部リンパ(淋巴)節腫脹、頭痛、関節痛、腹痛、嘔吐、下痢、発疹
などを伴うが、一週間以内に軽快し、間歇期には無症状です。IgD(免疫グロブリン)高値が
特徴とされているが、必ずしも高値ではなく、疾患特異性も低い。mvalonate kinase をコード
する遺伝子MVK の変異によることが明らかにされていて、MVK の完全欠損では、メロバロン
酸尿症を起こす。
*2)クリオピリン関連症候群(cryopyrin associated periodic syndromes CAPS)はcryopyrin (別命NALP3)
をコードするCIAS1の変異によって起る常染色体性優性遺伝病で、もっとも軽い病型が家族性寒冷
自己炎症症候群(familial cold autoinflammatory syndromeFCAS)、重症例がCINCA 症候群
(chronic infantile neurological cutaneous and articular syndrome)、中間的な病型がMuckle-
Wells 症候群(MWS)です。@FCAS 。かっては家族性寒冷蕁麻疹症と呼ばれていたが、必ずしも
じんま(尋麻)疹を起すとは限らない。典型的には寒冷暴露の数時間後、掻痒を伴わない蕁麻疹
様皮疹、発熱、関節痛などを発症し一日以内に自然軽快する。AMWSは蕁麻疹様皮疹、感音
性難聴、アポト−ジスを三徴候とする。発作は不定期に、必ずしも寒冷暴露とは関係なく起り、
発熱、関節痛、腹痛などを伴うが、1〜2日で軽快する。しかし、寛解時にも血清中のCRP試験
やSSAは高値が続き、約25%がアミロイドーシスを発症し腎不全となる。聴力低下も進行起る。
BCINCA症候群はCAPSのなかで最も重症で、出生直後に発症する。蕁麻疹様皮疹、高熱、
無菌性髄膜炎などの炎症症状を繰り返して脳は萎縮し、痙攣、精神運動発達遅滞などの中枢
神経症状や、骨端部の過成長、関節拘縮などの関節症状も伴う。感音難聴を起こし、アミロイド
ーシスや感染症で約20%が成人前に死亡する。NALP3は好中球や単球に発現して、細胞質内
で他の蛋白質と介合してinflammasomeを形成し、細胞外から細胞内に侵入してくるさまざまな
刺激に対して反応しインターロイキンIL-1を産生し、自然免疫に重要な役割を果たす。CAPS
でのNALP3の変異は50種類以上がみつかっているが、それぞれの変異が、それぞれの
程度に通常は不活化型であるべきNALP3分子の構造を活性型に変移させてしまっている
と考えられている。
*3)PAPA 症候群(syndrome of pyogenic sterile arthritis、pyoderma gangrenosum、and acne)、 、
10才以下で発症し、肘、膝、足関節の破壊性の化膿性膿皮症と思春期の著しいアクネ(にきび)
を伴う。pyrin と相互作用するCD2binding proteih-1 という蛋白質の遺伝子PSTPIP1の変異が
証明されている。
*4)Blau 症候群。乳幼児期に発症し関節炎、葡萄膜炎(網膜)、非乾酪性上皮細胞性肉芽腫を伴う苔癬
様皮膚炎を主徴し、肺門部腫脹は認めない、小児サルコイドーシスと呼ばれる炎症性疾患がある。
これに類似した遺伝性疾患でNOD2という蛋白質の変異が原因となっていることが明らかになり、
Blau 症候群と呼ばれている。その後、小児ザルコイドーシスにも同様の変異が報告され、両疾患は
同一の疾患と考えられるようになった。NOD2はNLAP3と同様にNACHTドメイン、LRRドメインを有
するNLRファミリーの一員で、細菌のペプチドグリカンの分解産物であるムラミルジペプチドを感知して
NF-kBを活性化する。Blau症候群の変異NOD2はNF-kB活性化能が亢進している。
*5)その他の類縁疾患。@クローン病の一部の症例ではNOD2の変異がみつかっていて、疾患感受性を
高める素因の一つと考えられている。
Aベーチェット症候群は、感染症がないのに好中球増多や炎症反応高値を呈する点で、自己炎症
症候群に似ている。好発部位もFMF と類似している。MEEFの変異を調べたら、同様な変異が
有意に高頻度にみつかった。ベーチェット病とFMF の合併例も報告され、FMF の原因変異は、
ベーチェット病に対する感受性亢進因子の一つ伴っていると報告されている。
自己炎症症候群の治療は、予後の改善に有効な分子標的薬の開発がある。FMF にはcolchicine
抗IgD 症候群にはsimvastatin、CAPS の各病型にanakinca(IL- receptor antagonist)などがある。
とくにこれらの治療成績の良い疾患は早期に正しく診断されることが必要としています。
<自己免疫性膵炎→膵炎>続く、、、、、⇒

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